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フランス地方料理を巡る旅

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フランス食材豆知識

オリーブオイル

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フェランディ・パリ※1から派遣され、FFCCで長年フランス料理の教授を務めていたアントワーヌ・シェフェールシェフがいた頃、シェフはどんなレベルの生徒さんであってもフランス地方料理を教えることから始めていました。
地方料理はその土地の気候や農産物、文化と密接に結びついており、その上に現代のフランス料理があるのだとピラミッドの図を黒板に書き、生徒さんに説明していました。
現代フランス料理を支えている三角形の土台が地方料理というわけです。
また地方料理を理解すること無しに、フランス料理は理解できないとも力説していました。
なのでプロヴァンス地方の実習でブイヤベースを作っている時に生徒さんがバターで香味材料を炒めようとすると、びっくりしたように飛んでいって「どうしてですか!この地方はどんな油を使いますか?オリーブオイルですよ。」と注意をして回っていました。
ノルマンディー地方の料理に何も考えずオリーブオイルを使っている生徒さんを見つけた時もまたしかり。
ある地方をイメージして料理を作るときには、この地方で使われている油脂は何だろうと考えてみて下さい。
ちなみにオリーブが生息する地域ではオリーブオイルが基本です。

フランスのオリーブオイル事情

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生産量は世界一位のスペイン、二位のイタリアにはかないませんが、フランスもオリーブオイル生産国です。イタリアからスペインにかけての地中海に面したフランス南部やコルシカ島のあたり。具体的には「ヴァランス」、「マントン」、「ペルピニャン」を結ぶ三角地域の中に含まれます。中でもプロヴァンス地方は良質のオイルが採れることで知られています。

プロヴァンスなどのオリーブオイル産地での使用量は半端なく、ビドンという5Lもの容器で買ってきたり、製油工場直売で分けてもらったりして、サラダにも料理にも、食材の保存にも大量に消費します。健康のために飲む人や、アルコールを飲む前にスプーン一杯のオリーブオイルを飲むと悪酔いしないという人も。胃に膜ができてアルコールの吸収をゆるやかにするのだとか。本当かなと思っていたら、オリーブオイルには本当に肝臓の解毒作用を強める働きがあるそうです!オイルの中で最も抗酸化物質が多いのも特徴の一つ。

フランスに行ったらオリーブ工場も訪ねてみてください。きっと色々な楽しい話しが聞けるはずです。

プロヴァンスの名オイル『ムーラン・コルニーユ』

FFCCでも以前訪問したオリーブオイル製造所があります。アルルから県道D17で15分程車を走らせた所にある、モーサンヌ村のオリーブオイル製造組合『ムーラン・コルニーユ』。

17世紀に建てられた風車小屋でその地の領主がずっとオリーブオイルを作り続けていました。同じ場所で今も作り続けられており、現在の組合組織になったのは1924年。変わらず熊手と網を使い丁寧に実を収穫し、石臼で実を粉砕し、天然素材の漉しマット?を重ねてプレスしてジュースを絞ります。オイルと水分を分離させて瓶詰しています。A.O.C※2のヴァレ・デ・ボー=ド=プロヴァンスに認定されており、その地にしかない5つの品種のオリーブの実からつくられています。その土地の風土や気候が凝縮されたものと言えるでしょう。このオイルは人々を魅了し、多くの三ツ星レストラン御用達となっています。

ピーター・メイルによる「南仏プロヴァンスの12か月」というエッセイにもこの製造所が登場します。プロヴァンスに移り住んだ著者がオリーブオイルに目覚め、市販のものでは満足できず、美味しいオリーブオイルを探し求めるくだり。ソムリエ並みのオイル鑑定能力を持ち地域一帯のオリーブオイルを知りつくした料理人から最高品質のオイルとして紹介され、製造所を訪問し、オイルを分けてもらうのですが、それが「ムーラン・コルニーユ」なのです。是非こちらも読んで見ていただきたいです。

ちなみにムーラン・コルニーユの収穫は10月下旬~12月末ごろまで。訪問は年間を通し受付けています。収穫時期には搾りたての最高のオリーブオイルが試食できるはずです。

Le Moulin CORNILLE
Coopérative Oliécole de Valée des Baux

※1 フェランディ・パリ(FERRANDI Paris)
パリにある料理・菓子・パン・ソムリエ・レストランサービスの職業専門学校。パリ市イル・ド・フランス地方商工会議所が運営。創立100年を迎えるフランスを代表する名門校。FFCCの長年の提携校。

※2 A.O.C.(Appélation d'Origine Contrôlée)原産地統制呼称
1905年に始まったフランスの認証制度のこと。INAO(Institut National de l'Origine et de la Qualité)という組織が定める。高級ワインの品質保証を目的に生まれたが、現在はワイン以外にもチーズやオリーブオイル、生ハム、食肉など広く適用されている。産品の原料や品種、飼育や生産方法について規定し、原産地の特徴が明確な産品について呼称の利用を認めて品質を認証するもの。

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参考

A.O.P.(A.O.C)認定地域

オリーブオイルにもワインのようにAOCの原産地統制呼称制度があり、現在はEU法にのっとりAOP(Appélation d'Origine Progégée)として7つの認定地域があります。

地域 特色
エクサン=プロヴァンス産オリーブオイル ブーシュ=デ=ローヌ、ヴァール地域。アグランドゥ、カイエンヌ、サロネンク、ピコリーヌ種その他、地オリーブ。やや辛みと苦みがあり、早摘みは新鮮な草やアーティチョーク、完熟タイプはココア、バニラの香り。
オート=プロヴァンス産オリーブオイル アルプ=ド=オート=プロヴァンス、ブーシュ=デ=ローヌ、他地域。アグランデゥ、タンシュ種、その他、古い地オリーブ。緑がかった黄色のオイル。リンゴやバナナ、アーティチョークの強く複雑な香り。
コルシカ産オリーブオイル コルス=ド=シュッドとオート・コルス地域。品種はサビーヌやグジェルマーナなど。苦み、辛みが少ないスウィートなオイル。ドライフルーツ、リンゴ、ハチミツやペストリー、花を思わせる香り。
ヴァレ・デ・ボー=ド=プロヴァンス産オリーブオイル ブーシュ・デ・ローヌ地域。品種はサロネンク、グロサーヌ、ピコリーヌ他。心地よい苦みや辛み。早摘みは新鮮なナッツやリンゴ、アーティチョーク、完熟タイプはココアやトリュフ、キノコの香り。
ニーム産オリーブオイル ガール、エロー地域。主要品種のピコリーヌから苦みや辛み。青々しいバナナやパイナップルの香り。
ニース産オリーブオリス アルプ=マリチム地域。品種はカイエティエ。アーモンドの強いアロマ。
ニヨン産オリーブオイル ドローム、ヴォークリューズ地域。品種はタンシュ。金色のナッツやアーモンド、干し草や青リンゴの香りのするなめらかなオイル。

(新オリーブオイルのすべてがわかる本/奥田佳奈子著/筑摩書房より)

参考

  • Association Française Interprofessionnelle de l'Olive
  • グルメのためのトゥール・ド・フランス フランス地方料理を知る本(フランス料理文化センター編/六甲出版)
  • フランス郷土料理/アンドレ・パッション著/河出書房新社
  • 新オリーブオイルのすべてがわかる本/奥田佳奈子著/筑摩書房

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