レシピの話

フランス地方料理を巡る旅

ブルゴーニュ=フランシュ=コンテ地方

Omelette aux escargots de Bourgogne

ブルゴーニュ風 エスカルゴのオムレット

エスカルゴ皿.jpg

ブルゴーニュと言えばワインにエスカルゴにクレームドカシス(カシスリキュール)。これらは切っても切れない関係。なぜならエスカルゴはブドウの葉とカシスの葉が大好きだから!
食用のエスカルゴはフランスには20種類ほどありますが、一番フランスで食されているのはブルゴーニュの名のついた「Escargot de Bourgogne」。地方名が付いたエスカルゴはブルゴーニュだけ。味が良いと言われています。エスカルゴについては「フランス食材豆知識」でお話しすることにしましょう。
下記のレシピは缶詰のエスカルゴを使用したレシピですが、もしもエスカルゴが生の場合、2週間断食(ジュネ)し、大量の塩で絞め(ちょっと残酷)、殻取り、ブラシ掃除、クールブイヨン(野菜のだし汁)で下煮...と結構、手間がかかります。

材料

<材料>(4人前)
材料.jpgのサムネイル画像
  • エスカルゴ(缶詰): 24匹
  • タマネギ(エマンセ※1): 1/2個分
  • グローブ: 5本
  • ニンジン(エマンセ※1): 1/2本分
  • 白ワイン: 300ml
  • ブーケガルニ: 1束
  • 卵: 8個
  • 生クリーム: 40ml
  • バター: 40g
  • エシャロット(アシェ※2): 1/2個分
  • パセリ(アシェ※2): 適量
  • 塩、胡椒

<フランス料理用語注釈>

※1・・・エマンセ(émincer)薄くスライスする
※2・・・アシェ(hacher) 細かく刻む

作り方

  • エスカルゴ(缶詰)をよく水洗いしてから、水気よくをふきとる。
  • 鍋に白ワインとクローブ、玉ねぎ、人参を入れ、沸かし、30分程弱火で煮る。
  • エスカルゴと塩・コショウを加え、ことこと30分程煮て、冷まし、一晩漬けこむ。
  • フライパンでバターを熱し、エシャロットを炒め、エスカルゴを炒める。
  • 塩・コショウして、生クリームを加えた卵を入れ、オムレツにする。(写真は、エスカルゴが見えるようにオムレツの上に盛っています。)
  • 全体にパセリをふる。オムレツは、巻いても巻かなくてもよい。

シェフエピソード

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ブルゴーニュのどのレストランのメニューにも、必ずエスカルゴ料理が載っています。さすがに星付きレストランでは、普通の「escargots à la bourguignon(ブルゴーニュ風エスカルゴ)」は、載せていませんが、たまにお客様からのオーダーがあったときには、「特別料理」として作っていました。もっぱら注文するのは、アメリカ人と日本人だけでしたが・・・。 でも本当に美味しいんだからしょうがないですね。

別の話で少し脱線しますが、「特別料理」といえば、犬用のオーダーもたまに入ります。いや、結構入ります。日本では経験したことがなかったので、最初は驚きでした。何故か担当するのは、ビヤンド(肉料理担当)です。サービス中、様々な肉を焼き、ローストし、ソースやガルニ(付け合わせ)を作っている最中に、小さな「ステック・アッシェ(つなぎのない牛ハンバーグ)」と野菜を焼いて、ブラストチラー(急速冷蔵庫)で粗熱をとって、犬用の特別な器に盛って、シェフのチェックを通ってから客席へ。そして大型の飼い犬がご主人様の席の横で静かに食べるのです。渡仏前にフランス帰りの先輩たちからも聞いたことがなかったので、ちょっとしたカルチャーショックでした。「これがフランスの地方の高級レストランかぁ!何か、スッゲーなぁ!」

話を戻します。私がいた店でも年間を通して様々なエスカルゴ料理が登場していました。一番印象に残っているのは、サゼスチョン(おすすめ)で登場した「Gâteau d'omlette aux escargots (エスカルゴのオムレットのガトー仕立て)」です。 下処理したエスカルゴを少し硬めのウッフ・ブイエ(炒り卵)と共にセルクル型に詰める料理で、中に「Ortie(オルティ)」という葉っぱ(香草なのか?雑草なのか?)を刻んで混ぜ入れてあります。見たことも食べたこともない料理でした。

シェフに質問したところ、これがブルゴーニュの「伝統料理」なのだと。聞くところによるとエスカルゴは、オルティを好んで食べるそうです。「へー!葡萄の葉っぱだけじゃないんだー。」

しかし、この「オルティ」が厄介で、店のジャルダン(お庭)や道端の草むらでこれを摘むとき、分厚い手袋なしだと指にトゲトゲが刺さり、とても痛い思いをします。

なので、私は一回やって懲りたので、仕込みの多さを言い訳にして、次からはコミ(私のアシスタント)とちょうどカナダから来ていたスタジエ(研修生)に担当してもらうことにしました。

さて、今回は「オルティ」が入手できなかったので、私がボーヌのビストロで食べたパセリを使い、フライパンのまま出すスタイルでご紹介します。(シェフM.T)

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お祭りの屋台ではフランスパンを添えて、こんなスタイルで提供されます。殻に残ったエスカルゴバターはたっぷりパンに染み込ませていただきます。

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